3/10日はWordPressテーマ「SWELL」のリリース日でして、今年で4周年を迎えました。
周年を迎える度にいつも感慨深くなるのですが、特にここ2年ほどでSWELLは自分の想像をはるかに超えるほど多くの方々に使っていただけるようになり、もうなんだかすごすぎて自分でもよくわからなくなってきてしまうような状況になりました。
今年も周年報告ツイートにたくさんのお祝いの言葉をいただけて、非常に嬉しく、まだまだ開発頑張るぞと励みになりました。
4年前の自分に今の状況を話しても信じてもらえないんだろうな…。
現状で見ると、いわゆる”成功“というものを個人開発において収めることができたわけですが(最近はフリーランスの方に作業を手伝っていただいたりしていますが)、せっかくなので なぜこのSWELLというプロダクトがここまで人気になったのか、いい機会なので少し自己分析してみました。
成功の要因(だと自分で考えたもの)を①〜⑤ + α でまとめまています。
① 運
結論としましては、まあ考えれば考えるほどにこれでしかないわけです。
運です。運が良かった。運は全てを凌駕するのです。
「謙遜ムーブかよキショいぞ」と思われてしまうかもしれないんですが、事実なので仕方ないわけです。(できることなら「天才だから」の一言で済ませたいです..)
SWELLが成功した要因として、どう考えても次の3点が一番でかいんですがこれってもう運でしかないんですよね…。
- WordPress過渡期(ブロックエディタ導入直後)にリリースできたこと
- 同じ時期を狙ってリリースされた競合製品があまり出てこなかったこと
- 競合大手がなかなかブロック対応してこなかったこと
WordPress過渡期(ブロックエディタ導入直後)にリリースできたこと
なんといってもこれが一番でかいです。リリース時期が最適すぎました。クラシックエディタからブロックエディタに置き換わる WordPress 5.0 がきたタイミングでした。
誰がどう見たって、WordPressテーマ開発するなら今めっちゃチャンスじゃね?
って時期にリリースできたのです。(ホントは5.0リリースと同時にリリースしたかったので実際は少し出遅れていますが…)
いわゆる”先行者利益”が取りやすい時期でしたね。
もちろん過渡期だからこその地獄ももちろんあります。初見で普通に使うことすら意味不明なブロックエディタを、機能拡張して使いやすくする方法なんて当時はマジで情報が全くなく…。ブロックについて調べ始めた最初の1週間はほぼ寝ずに半泣きになりながら海外の天才たちのソースコードを読み漁りながら試行錯誤してました。ビルド後の圧縮されたファイルをがんばって読んだりもしましたね。
そういう地獄を気合で乗り切ってきた自分のことは褒めたいんですが…(その気合が続いた事自体、突き詰めていけば運なわけで)。
同じ時期を狙ってリリースされた競合製品があまり出てこなかったこと
これはけっこう意外でした。
もっと自分と同じように、この絶好の機会にテーマリリースしてくる人がバンバンでてくると思ってたんです。
が、5.0リリースから1年以内くらいにリリースされたテーマってそんな多くなかったんですよね。
バチバチに競争が始まると思っていたので、少し拍子抜けしたことを覚えています。
自分の場合、WordPressがブロックエディタに変わるということを見聞きしたタイミングがちょうど独立して少し経った頃でした。
まだ継続的に仕事をやり取りするような関係をどことも築けておらず、ココナラで軽いカスタマイズ案件を引き受けていました。妻子もおらず安いアパートで一人暮らしだったので、偶然にも 新しいことにチャレンジしやすい環境にいた時だったんですよね。(チャレンジ失敗してしばらく極貧生活が続いても大丈夫な状態)
しかもちょうどSSL化移行時期でもあり、テーマ開発のスキマ時間にSSL化依頼引き受けるだけでもギリギリ食いつないでいける感じだったので、テーマ開発に多くの時間を割くことができました。
その頃はまだスキル的にはゴミだったのですが(カスタマイザーの存在すら知らないし page-{hoge}.php に直書きしかしたことないレベル)、そんな状態でも挑戦しよう思える 若さゆえの無謀さ みたいなのがまだ残っていた頃でもあり、それも運が良かった点かなと思います。
絶好の機会 x チャレンジできる状態 が運良く重なっていたわけです。
そんな人はあまりいなかったみたいで、新規の競合が少なかったのはかなり幸いだったと思います。
競合大手がなかなかブロック対応してこなかったこと
これもかなり意外で超ラッキーでした。
すでに大人気のブログ向けWordPressテーマはいくつかあり、それらの大手どころは絶対にすぐにブロック対応してくると思ってたんです。
しかしなぜかクラシックエディタ推奨で様子見をする感じのテーマが多く、大手にいつ潰されるかとビクビクしていた無名個人開発者にとっての救いの時間が与えられたたわけです。
その隙に毎日必死でテーマの開発を続け、アプデしまくってました。
② 途中で諦めず、テーマ開発だけに注力したこと
マジもんの無名駆け出しエンジニアだったので、リリース直後はもちろん全く売れません。初月はたったの2件(しかも最初は80%オフとかで売ってた)。
3ヶ月目もまだ売上が数万円とかだった気がします。
なかなか売れないし知名度も上がらない。しばらくはかなり悩みながら、他のことも並行して進めていくべきかと中途半端に色々と手を出してました。
YouTubeでWordPress講座とかやって視聴者集めて宣伝したほうがいいんじゃないかとか。ブロガー・アフィリエイターとしてちょっと結果出してからのほうが売れるんじゃないかとか、マーケティングとか自己啓発系の本を読んで “ビジネス” について先に学んだ方がいいんじゃないかとか。SNSがんばってフォロワー集めした方がいいんじゃないかとか…。
でも途中で「テーマ開発1本に注力してバチクソ良いもんに仕上げていくべきだ」と思い直し、そういった迷いを一旦全部捨てて全力疾走することに決めました。クラウドソーシングでの仕事の受注も一切受け付けないようにして、テーマが売れなければ食っていけない状態にしました。背水の陣です。
この頃はすでに彼女(現妻)と同棲し始めていたのでなかなかスリリングでしたが、一応リリース後からずっとゆるやか〜に右肩上がりではあったので「まぁなんとかなるか!」という楽観的な考えでした。
また、大学生の頃に生活の全てを捧げて打ち込んでいたものがあったんですが、それも(すでにフェードアウト気味だったけど)スパッと完全に辞めることを決め、完全にこの道一本に集中しました。
一度そうと決めてしまえば、意外とあっちこっち迷いながらうじうじ悩んでいた頃よりも精神的にもスッキリし、かなり集中して有意義に日々を送ることができました。
この判断はとてもよかったなと今でも思います。
(でもさすがにそろそろ趣味の時間は取り戻したい…)
③ 泥臭くがんばると決めたこと
そうして「誰もが認めざる得ないくらいの良いもん作ったら勝手に売れるはず!」と思い開発をがんばってたんですが、結局それじゃダメなことにも途中で気づきます。
なんでそれがダメだと感じるかというのは一概に一言では言えないですが、例えば、時々こういうDMが来たりするんです。
「SWELL、めちゃくちゃ良くてお世話になっています!なので是非オススメWordPressテーマ◯選という記事で紹介したいのすが、アフィリエイト開始してくれませんか?アフィリエイトないと紹介できないので。」
…やっぱそういう世界ですよね…。と。
良いと思ってくれても、自分の収益を下げてまでランキング記事で紹介するようなことは多くの方はしてくれないわけです。
(もちろん、自分のブログやSNSで紹介してくれる人もたくさんいました。)
まあそんなこんなで、色々考えてみると当たり前なんですが「無名でも質が良いもん作ってたら勝手に売れる」ってのは現実的にはなかなか厳しいんですよね。もちろん不可能ではないし、実際そういう製品もあります。ただ、おそらく高確率でかなり時間がかかるか、もしくは超ラッキーイベント(インフルエンサーが気に入ってくれて熱心に紹介し続けてくれる等)が発生しないとほぼほぼ無理なんですよね。
じっくり時間をかけて…というスタンスでいくのは進化や移り変わりの激しいこの業界ではかなりリスキーでもあり、自分はそこまで肝が座ってないのでなにかしら自分から起爆剤をしかけていかねばならぬ!と思いはじめました。
どれだけ物が良くても、まずは知ってもらわないといけない。
そのためには色々と泥臭くがんばることも必要だなと。
質が良くて売れない or 質が悪くても売れる
よくある「質が良くて売れない or 質が悪くても売れる」ならどっちを作る?みたいな話ありますよね。職人気質な人は間違いなく前者と答えるでしょう。自分も完全に前者タイプでした。
でもこれってそもそも2択で考える意味全くないんですよね。「質が良くて売れる」が普通に考えて一番いいんですよ。
「わしゃあ 本当に質が良いものを、それが分かってくれる人にだけ届けれたらそれで満足なんじゃ…」
って感じはたしかに超カッコイイ。
2択であれば、そっちを目指したくなります。
ただですね、もし超質が良いものを作れたとして、そしてそれがあまり売れはしなかったとして。
その時に「質が悪くても売れている」競合製品を見た時に ちょっとでも嫉妬するような気持ちが出てきてしまったらダサくないですか。
「いやあ、あれは〇〇のおかげで売れてるだけでそんなに質はよくないよ」みたいなことばかり言うようになっちゃったら、どれだけ良いもの作ってても死ぬほどダサくない…?って気づいたんです。
で、僕は人としてよくできたタイプではないので、絶対その嫉妬心はでてくるなって思ったわけです。
嫉妬するとそれによって自己嫌悪も始まってメンタル的にもよくないので、「そうなるくらいだったら変なプライドは捨てよう。質も高めつつ、売れるために何をすればいいかもちゃんと考えよう。質が良くて売れるものを生み出せば質が悪いものを業界から押し出すこともできる。」と思うようになりました。
「質が悪くても売れる」という現象が現実に起こっているんだから、「その手法を 質が良いものでもやれば絶対売れるのでは…?」 と思って、色々考えを巡らせ、「製品としての質はそこまで高くなさそうだけどよく売れてそうだな」と感じるものを見つけたらそれを研究したりしました。
どうしたら多くの人に知ってもらえるか、ユーザーさんたちに相談したこともあります。「SWELLはちゃんと多くの人に知ってもらえさえすればもっと爆発的に人気がでるはずだ」と何人かの人に言ってもらえたおかげで、ここまでがんばれました。(ありがとうございます…!)
④ 自分が二流(普通)であること
これは結構重要な要素だと思っていて、プログラマーとしての技術力やデザインセンスがそこまで高くないことが、かなり大きいんじゃないかなと。
“普通”の感覚がわかる
SWELLは汎用的なWordPressテーマなので、ターゲット層がかなり広い製品です。
なので、より多くの人と感覚が近いこと、つまり、「普通の感覚が普通に分かること」がかなり重要だと思います。
- 使いやすいと思う感覚
- 見やすいと感じる感覚
こういった感覚が多くの人と一致しているため、多くの人にSWELLが使いやすい、デザインが良いと感じていただけているのだと思っています。
もし一流プログラマーならもっとすごいことしてる
一流のプログラマーの勝手なイメージですが、次のいずれかのような感じになるんじゃないかと思っています。
- モダンでイケてる技術使いまくって業界の先頭で駆け抜けていく
- 大規模なサービスを開発している
- 次から次へと便利なサービス等をリリースしていく
- 社会的意義が大きいようなドでかいプロジェクトで、チームの中枢として支えている、またはチームを率いている
つまり、超一流プログラマーであれば個人開発レベルに収まりはしない(収まれない)と思うんですよね。
それこそWordPress界で一流というとGutenberg自体を開発しているような方々だと思っています。
自分はその一流の方々が開発したものをうまく活用しているだけにすぎないわけで。
自分がWordPressテーマをひたすらいじり続けれるのって、良くも悪くも一流に届かないレベルの存在だからだよなあと、よく思ったりします。
⑤ 自分の性質が個人でのテーマ開発と相性がよかった
これも結局は「運が良かった」につながるんですが、自分の性質(性格?)の面からも少し分析してみました。
(自分の性質が生まれ持ったものなのか環境によってそうなったのかはわかんないですが、どっちにしてもその人の性質がどうなるかってのは極論 運しだい…。)
寝食を忘れてデスクに向かうことができる
自分は寝食を忘れてデスクに向かえるタイプでして、膨大な作業量で開発し続けれたこともかなり大きいとは思います。
特にSWELL制作段階(リリースまで)は寝る・食べる・洗う以外の時間は基本ずっとデスクに向かってる日がほとんどでした。
この性質のおかげで、エンジニアとして二流な自分でも、ある程度は”量”でカバーすることができます。
ここぞという時にがっつりやり込むこともできるので、業界がブルーオーシャンの間にフルスロットルで稼働することができたのも大きかったかもしれません。
ちなみに「寝食を忘れてデスクに向かう」というのは、
- 集中が割と長く深く続く(健康にはすごく悪いしマルチタスクには激弱)
- 目の前の気になることを寝食よりも優先してしまう(チームで動くのに向いてない)
という性質によって可能なことだと思っているのですが、場合によってはこれらはすごくデメリットになる性質だとも思っています。(実際苦労することもたくさんあります。)
ただ、自分が挑戦することに決めた「個人開発」にとって、これらはとても相性が良かったと思うんですよね。(健康面で見ると最悪かもですが…)
負けず嫌い
ある程度人気が出てきてもその時点で満足せず、今もずっと開発を続けれてるのはこの負けず嫌いな性格のおかげかなと思います。
「勝ちたい」より「負けたくない」が強いというか。ただただ自分の生み出したものが「他と比べて劣りたくない」という気持ちが強く、ずっと改善点探し続けることができます。
動力源が「お金を稼ぎたい」とかでもないので、経済的に満足できるようになっても関係なく、這い上がり期と同じ熱量でやっていけるのも大きいかもしれません。
努力しようと思わなくてもできた
よく「努力したから成功がある」という話を聞きます。
自分の作業量を振り返ってみてもおそらく他から見ると「努力した」ことになるんだと思います。
でも自分視点ではあまり「よし!努力するぞ!」みたいな感じではなく、テーマ開発をやりたくてやってただけでした。
がんばるぞ、と思わないとできないことだったら自分はこんなに続けれない….。
そう思わなくても毎日続けれるものに出会えた、というのがそもそも大きかったです。
悲しいかな、つまりは結局これも運がよかっただけということ…?
( “努力”みたいなことができるかどうか自体も遺伝子で割と決まっちゃうみたいな話をきくので、だとしたらそういうのも含めて「もう全て運しだいじゃん」とは思うんですが )
まとめ。運が巡ってくるまで待つべし。
総じて運が良かったよねという話になってしまいました。
何の参考にもならん!と思われるかもしれませんが、成功するために運が大事だということがわかっていれば、そういう前提で色々行動できるはずです。
数撃ちゃ当たる戦法や、当たるまで続ける戦法、つまり「運が巡ってくるまでやめないこと」が一番大事かもしれません。
努力ができるタイプの遺伝子を運良く持ち合わせている人は努力パワーで運がぶち当たるまで試行錯誤して継続し続ける。努力が苦手な人はまずは自分ががんばろうとしなくても継続できることを探してみて、運良く見つかったらそれに人生全ぶっぱしてみる。
みたいな。
(ここまで特に触れてきませんでしたが、そもそも「“成功”を追い求めるべきか?」という議題について自分の中でケリがついてない人はまずそこから考えてみることが重要だったりもしますね。)
追記:その他の細かい要因たち
ざっくりとした分析がほとんどだったので、実際に取り組んでよかったことも順不同で箇条書きしていきます。
アフィリエイトを開始した
これは③の泥臭く行くと決めてすぐに開始したことの一つ。
やっぱりマーケティング知識とかないくせに自力でなんとかするよりも、プロの方たちに宣伝してもらうのが一番なんですよね。
リスティング広告等を出すには資金が必要ですがアフィリエイトは成果報酬なのでその心配もいりません。これはゼロからがんばる個人開発者にとって本当にありがたい仕組みなんだなと実際にやってみて強く感じました。
また、100%GPLという製品の特性上、よりアフィリエイトとの相性が良いなと感じました。
(コピーが出回るリスクが高いが、アフィリエイトしてればわざわざ無料で人にあげたりする人が減る)
ただし、「使ってもないのに報酬欲しさに薦める人であふれかえる」みたいなことには絶対になってほしくなかったので、SWELLでは基本的には購入者しかアフィリエイトできないようになってたりします。報酬額も他のWordPressテーマを調べて相場と同じくらいにしています。(調べてみると、思ってたよりアフィリエイト採用してるテーマが多かった)
アフィリエイト採用することのメリット・デメリットはどちらもあるのですが、SWELL的にはよかったなと思っています。
高速化に力を入れた
SWELLの人気が上がり始めた頃、なぜか公式では推しポイントにしていないはずの「表示速度」がやたらメリットとして取り上げられるようになりました。
もちろん、二流プログラマーながらも処理負荷の高いコードをできるだけ書かないように気をつけたり、不安な部分はその都度検証したり、できる限りのことは当時からしていました。なので実際にある程度その頃から高速ではあったと思います。
自分があまり注目してなかった長所をユーザーさんが取り上げてくれた、というと聞こえはいいかもしれないですが、想像以上にそこが取り沙汰されるようになってしまい、ちらほらアンチ的な意見もでてくるようになってました。
そのままでは実力と評判との乖離が大きくなっていってしまう危険性があったので、高速化専門家のスキルシェアさんにお声がけして本気で高速化周りにも力を入れるようにしました。
この判断もとても良かったと思います。名実ともに高速なテーマとなりました。
(ただし速度面は運用によってどうとでも変わってしまう部分なので、今でも公式サイトでは大々的にアピールしないように注意しています。)
アプデが多いことが優位性になった
アプデが多いことは必ずしもいいこととは限りませんが、昨今のブロックエディタ時代においてはアプデが多いことは安心感につながっていくことが多いです。(コアの仕様変更が激しく、定期的にしっかりアプデしないと製品としての品質を保てない)
SWELLはプログラミング歴3年目とかで作り始めているため、5.0リリース時期に合わせようとしたためにどうしても作り込みが甘い箇所が残っていました。
なので「リリースしてからどんどん成長するテーマ」として必死でアプデを重ねていたのですが、それが運良くブロックエディタ時代ともマッチし、アプデが多いSWELLの特性が違和感なく、むしろ長所として見られ始めました。
ただしユーザー数が増えてくるとどうしてもアプデの数(というより変更度合い?)は抑えめにしないと色々キツくなってきますので、今後の方向性はまたこれから見極めていかねばなりません。
無名だったからこそ応援してもらえた
無名での製品販売はとても厳しいものがありますが、逆に良さもあったなと感じています。
期待値がゼロなので、リリース初期にまだ未熟でも「そんなもんだよな」って感じになりますし、でもそこから本気で良いものに磨き上げていこうとしていることが伝わることで、応援してくれる人も出てきてくれます。
変に実績のある一流気取りの中堅エンジニアがもし同じような状態でリリースしていたら、もしかしたら応援されなかったかもしれません。または本当に実力がある素晴らしい人であった場合、期待値が高い分リリース初期に欠点が目立ってしまうとそれだけで人が離れる要因にもなってきます。
今振り返ると、無名だからこそ、がむしゃらにやっても批判されず挑戦していけたんだなと。
しかも誰にも期待されていなかったとこから徐々に知名度が上がっていくと「お、気づいてなかったけど新しく勢いのあるのがなんか出てきたぞ?」と注目してもらえたりもするので、途中からブーストがかかりやすいというのもあったかもしれません。
100%GPLに変更したこと
実はSWELLは最初100%GPLではありませんでした。
GPLというもの自体まだよく知らなくて、利用規約ページも他社製品の規約をいくつか読んで曖昧な理解の作ってしまっていたということもあり、スプリットライセンスとなっていました。
しかし、ある時Snow Monkey開発者のキタジマさんがGPLに関してツイートしてるのを見かけます。
「むむ、GPLとは…?」となり調べてみると、WordPress開発陣の理念が素敵だったのでSWELLも100%GPLにすることにしました。
するとキタジマさんがすぐに反応してくださり、Snow Monkeyミートアップに参加しないかと声をかけてくださったことがきっかけで「WordPressコミュニティ」というコミュニティにも関わっていけることになりました。(今考えても競争相手を誘えるキタジマさんの懐のでかさがすごい…)
そこからたくさんの人と交流する機会が増え、応援してくださる人も増えていきました。
スプリットライセンスのまま販売し続けていれば、この繋がりはありませんでした。
WordPressを生業として生きていくのであれば、このコミュニティの中に入っていけるかどうかというのは非常に重要なことだと今では強く思います。特にまだ実績やコミュニティを持たないような無名エンジニアにとっては。
「じゃあGPLにすべきか?」
と もし問われたら、それはまた別の話というか、どっちでもいいと個人的には思います。
何百・何千時間も費やして開発しているものを100%GPLで販売するということは、ビジネスとして考えるとやはりリスクが大きいです。なので、「みんな100%GPLにすべきだ」とかは全く思っていません。100%GPLにしたとしても守れる権利があれば守るべきだとも思ってますし、実際SWELLも商標権で守れる範囲はしっかり制限を付けています。(商標権の取得は必須)
著作権でしっかり自分のプロダクトを守っていけるスプリットライセンスを採用することも、とても良い選択だと思います。
ただしブロック対応しているのにJSファイルにGPLを適用せず、未だにPHPファイルにしかGPL適用していないものは如何なものかと思っています。WordPressを活用してるんだから、そこはちゃんとしようよ。って。
エゴサめっちゃする
最近はSNS見るのしんどいことが多いので減ってきていますが、テーマに関するツイートはめちゃくちゃ調べていました。
そうすることで、フォーラムとかに上がってこないような小さな不具合や不満点もキャッチすることができるので、そういうのを見つけたらすぐタスクリストに突っ込んで修正していき、製品を磨き上げていくことができます。
※ ただただ嫌なコメントとかも目に入ってきてしまいますが、嫉妬心からくるものだったり、単純にその人と僕が根本的に相性が悪くて嫌われているような場合、こちらではどうしようもないので秒でミュートします。
ブロックエディター自体の良さを知ってもらうための取り組みもしたりした
SWELLはブロックエディタ自体の知名度が上がっていかないとそもそも選択肢に入ってこない製品だったので、まずはそのブロックエディタ自体が「こんなにも便利なんだぞ!」ということを広めるべく、無料の勉強会などを数回開いたりしていました。
そういう小さな取り組みの一つ一つが重なって徐々に徐々にSWELLの知名度も上がっていったのかなと思います。